人はいつか必ず死ぬ。
その当たり前の事実を、どのくらい真剣に考えたことがありますか?
日々の忙しさに流されて、「死」について深く考える時間はほとんどありません。
でも、突然の病気や事故、身近な人の死に直面した瞬間、私たちは一気に現実に引き戻されます。
私は看護師として、多くの最期の瞬間に立ち会ってきました。
患者さんが死を受け入れていく過程、
生への執着が少しずつ手放されていく様子
――それらは私の死生観を大きく揺さぶりました。
そんな私が手に取ったのが、
イェール大学・シェリー・ケーガン著『Death』。
死を真正面から見つめ、人生をよりよく生きるヒントを探すための一冊です。
目次
『Death』を手に取った理由
この本を読もうと思ったのは、今の自分だからこそ改めて「死」というテーマに正面から向き合ってみたかったから。
さらに、イェール大学の人気講義をまとめた本だと知り、期待感も高まりました。
最初の感想:翻訳のクセが気になる
読み始めてまず感じたのは、日本語訳が少し回りくどいということ。
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「〇〇あるいは〇〇、あるいは〇〇」
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「つまりは〇〇で〇〇、ではないということ」
といった丁寧な表現が多く、テンポが少し崩れる場面がありました。
ただ、もともと人気の講義形式だったため、直接耳で聞けばもっと面白く入り込めるのだろうと感じました。
英語で読めれば、また違った印象を受けるだろうな…と
英語力のなさを少し悔やむ瞬間でもありました。
本の内容(途中まで)
この本では、死を「肉体の終わり」とし、
それによって享受できたはずの良いことを奪われるものと捉えています。
さらに、不死は必ずしも幸せではなく、人が本当に求めているのは
「満足するまで生きること」
だという視点も提示されます。
また、死を恐れることは不適切であり、
死を深く考えることは、人生をより良く生きるための手がかりになる
という考え方も印象的です。
読んで感じたこと
普段の生活で死を意識するのは難しいかもしれません。
しかし、
〈自分の予想外の体調不良〉や〈身近な人の死〉など、「死」を避けられない形で
意識せざるを得ない瞬間に出会った人は、
「今、生きていることがどれほど貴重か」
を痛感するはずです。
私も看護師として、多くの患者さんを見送りました。
彼らは「死への覚悟」と「生への執着」の両方を抱えながら、
やがて死を受け入れていくにつれ、徐々に生への執着も薄れていく―
―そんな瞬間を何度も目にしました。
だからこそ、
健康に生きている今だからこそ、死を意識することが大切だと感じます。
とはいえ、人はすぐに日常に流されて忘れてしまう生き物です。
だから定期的に、自分の生き方や感謝の気持ちを思い返す時間を持つことが必要なのです。
現時点での評価(途中まで)
まだ最後まで読み切ってはいませんが、哲学的に死を掘り下げるきっかけとしては価値のある一冊です。
翻訳のクセに慣れるまで少し時間はかかりますが、「死」というテーマに真正面から向き合いたい人にはおすすめできます。
最後まで読み切ったときに、自分の死生観がどう変わるのか――また時期を見て再挑戦したいと思います。
Audible(オーディブル)で聴くのもおすすめ
ちなみに、『Death』はAudible(オーディブル)でも配信されています。
2倍速で聴いても約12時間かかる大ボリュームですが、
ランニングや移動中に少しずつ聴き進められるのが魅力です。
私は途中で一旦離脱しましたが、耳から入るほうが理解しやすい人には良い選択肢かもしれません。
まとめ
『Death』は、死を哲学的に考えることで、日常の生き方や感謝の気持ちを再確認できる一冊です。
「死を意識することで、生をより深く味わえる」――そんな気づきを与えてくれます。
以上、ここまでご覧いただきありがとうございました。